輸出売上を計上している、もしくは海外を狙っている中小企業の海外営業は2021年5月から大きく変わると予想されます。死活問題になるかもしれません。私はB2Bが大好きで、日本の総合商社で8年間産業機械の輸出入を担当していました。是非このポストを読んでみてください。売り上げを上げるためのヒントがあると思います。尚中小企業の定義については中小企業庁のリンクをご覧頂ければと思います。
目次
- 中小企業の海外営業実態
- B2B購買プロセスの変化
- 何が2021年5月に変わるのか?Googleの検索基準が変わります
- 変化を乗り切るための対策
- 対費用効果
- 海外営業手法にネットを取り入れる場合の注意点
- 参考ポスト
1. 中小企業の海外営業実態
中小企業にとって、海外業務は重荷です。人材そして社内リソースを当てることが難しいからです。通常は商社やパートナーと一緒に組むか、またJetro等の機関のサポート得て海外進出や開拓をすることになります。B2Bにおける最高の見込み客取得方法は展示会でしたが、今後はオンラインでの商談がはっきりと見えてきました。そこでデジタルトランスフォーメンションと言われるDX対策が営業活動に必要になります。これはコンピューター、携帯、WEB等のツールを示しているのみならず、営業手法の転換が必要になってくるという意味です。
中小企業が取れる、それも限られた予算で、施策を行う方法は後述します。その前の前提条件として、購買手法が大きく変わったことを共通の認識として確認したいと思います
2. B2B購買プロセスの変化
B2Bの購買で大きな変化はインターネットによる情報入手が可能になったこと、社会環境の変化により、購買プロセスに様々な部署が絡むようになったこの2点があります。まずはインターネットによる情報収集についてみてみましょう。
例えば歯車工作機械を検討する場合、Googleで「歯車工作機械」と入れます。ここでは日本語ですが、お客様は海外ですので実際は英語での検索となります。すると様々なメーカーや販売店の一覧が出てきます。このページはSERP(Search Engine Results Page)と呼ばれています。そして業界では2ページ以降は墓場とも呼ばれ、ほとんど訪問されることがありません。検索結果において最初のページに選ばれることが非常に重要になります。1ページ目の一番上に出てくるのが理想で、ここが最もクリック数が多いのです。ここでは三菱重工が一番ですね。そして複数回出てきますので、多くの人が三菱重工のWebサイトを訪れることになります。
2つ目の点は、社会環境の変化です。この変化は購買プロセスに大きな影響を与えました。以前は購買権は特定の人物に集中する傾向がありました。「あの人を知っているから大丈夫だ」という話がありましたね。ところが今は、購買に当たり多くの人が絡んできます。LinkedInの発表によると、B2Bにおける購入プロセスの関係人数は平均6名以上になるそうです。実際の担当、技術、メンテナンス、購買、マーケテイング、物流等々、様々な人々が購入決定における権限を持っているのです。「あの人を知っている」=「人脈」という構図が立ちにくくなってきました。これらの多数のルートを抑えるのに最適なツールがインターネット、具体的にはWEBサイトとLinkedInに代表されるSNSです。お客様は、間違いなくネットを利用して情報を収集します。営業に連絡をする前に、ほぼ購入希望が決まっていたり、営業より商品について詳しい例は、皆さんも体験していると思います。すっかり様相が変わってしまいました。
3. 何が2021年5月に変わるのか?Googleの検索基準が変わります
2021年5月に、Googleの検索アルゴリズムが変わります。これが大きな変化です。今まで前述した検索結果ページの内容が大きく変わる可能性があるのです。2020年11月10日にGoogleは公式発表にその内容を発表しました。
詳しい内容は技術的な話になりますので、ここでは大きな変化が世界中であるという理解だけで大丈夫です。そして幸運なことに、その内容を事前に知っている事です。テスト前に先生がポイントを教えてくたというイメージですね。
4. 変化を乗り切るための対策
変化を乗り切るための対策は、
- WEBの技術的な改善(実際はGoogle対策)
- コンテンツの充実(実際はGoogleが理解出来る内容のコンテンツ)にあります
しかしながら、これらの最適化の手法は科学的なアプローチと分析が進んでおり、非常に複雑化しています。個人で全てを対応するにはスーパースキルが必要なんです。複数の専門技術者がチームを組んで取り組む必要があります。ですので中小企業で売り上げの多くをデジタルマーケティング部門が生み出す場合を除いて、これらの人材を社内で手当てするのは非常に難しいと言えます。ネットですので情報部門に頼ってしまうかもしれません。確かに1は可能かもしれませんが、2は営業かマーケティング担当が適任でしょう。
ネットで見込み客を得るプロセスは複雑化がどんどん進んでいます。ネット検索における基本対策はGoogleとどれだけ仲良くやっていけるかです。これを間違って、お客さん、「例えばお客様にわかりやすいこと」を最優先にすると、間違いなく結果が出ません。また、競合はどんどんネットを利用した見込み客取得に投資をしています。従来のインターネット対策は費用という考えから、資産という考え方に中小企業も変わってきています。
ここまできてピントきた人は、以下の3つをお勧めします
1. Webサイトの最適化が必要かの調査
2. 競合の英語SEO対策の調査
3. 自社のデジタル営業におけるweb戦略必要性の確認
こちらを実施すると具体的なイメージが湧くでしょう。その後どのようなデジタル戦略をとって、どこに投資するかを決めることが出来ます。
もしイメージが沸かない場合は、こちらの選択肢があると思います
1. 輸出売上が大事かどうかを再確認
2.外部リソースを利用するための予算が取れるかを検討する
3.予算が取れないようなら、自社のメンバーに中小企業のためのデジタル戦略とオペレーション基本を学んでもらい、出来ることが開始する
予算が取れるようあれば、施策の前の調査を受け持ってくれる会社もあります。そこから進めるのはお勧めです。事前調査を行うメリットは、相手の会社を理解する上で最も良い方法とも言えます。その際の注意事項は
- 短期での効果を約束しない(そう願いたいのですが、実際は困難です。ですので安請け合いをする場合は気をつけた方が良いです)
- 費用と提出物がハッキリしているか
- 英語ので実績
- 相手のチーム構成(必要とされる専門性があるメンバーが揃っているか)
施策は通常、結果が出るまで時間が掛かります。目に見える数値としての結果です。こちらのようなグラフで、結果が確認出来ます。一般的には早くても3ヶ月、競合が激し場合は9-12ヶ月程が目安です。ここでの結果の意味は計測可能なデーターという意味です。
変更が既に告知されていますので、今から動くことを前提に検討されるのが正解でしょう。これは世界的な動きですから、マクロ的な視点で考慮する必要があります。
5. 対費用効果
対費用効果は中小企業にとって真っ先に気になることと思います。費用はピンキリとなりますが、目安として人件費1人分を、まず考慮に入れるべきでしょう。日本であれば、日本語のSEOを専門にしている会社はありますが、英語での対応になるので、取り扱える組織は少なくなります。
費用が出せないという場合は、出来るところから開始すれば良いと思います。大事なことは来年に変化があることが発表されていること。これをチャンスと捉えるのか、そままま見逃すかで大きな変化が出てくることでしょう。
効果については、これが実は悩ましいのですが、結果を保証することが出来ないんですね。何しろGoogleのアルゴリズムに依存していること、そして競合も当然力を入れています。ですので、経過と施策について透明性のある組織を選ぶ必要があるでしょう。こちらの画像は実例ですが、この場合は結果が出るまで6ヶ月かかっています。短期での結果を望むのは、実は厳禁です。短期での結果を望むのであれば、広告の方が向いていますが、この場合は費用となります。その一方WEBとSEO改善は投資となります。これは大きな違いです。
誰もが短期での結果を望みますが、正しいプロセスを省くと、Googleからペナルティを受け、今までの蓄積がなくなる可能性があります。これは本当に留意すべき点です。実際にお客様からそのような相談を受けたケースがあります。下の画像で大きくグラフが落ちていますね。これがその実例です。この場合は以前のSEO代理店が無理なことをしていたためにGoogleから追い出されてしまった例です。その後約2ヶ月程で復帰しています。お客様の対応が非常に早かったので、リカバリーも早く実行できました。
6. 海外営業手法にネットを取り入れる場合の注意点
海外営業手法にネットを取り入れる場合の注意点は、やはり費用と言えます。これは経営者視点からみた場合ですが、結果保証がされない投資です。また対費用効果を短期で追うことが出来ません。それでも費用については注意深く見守る必要があるでしょう。特に英語での施策ですと、日本語での対応とコミュニケーションやコンテンツの作成において、様々な違いを感じることでしょう。
2つ目は海外営業手法の全体像を理解した上で、英語SEO対策(WEBサイトとコンテンツ施策)を行う必要があります。2020年代における海外営業は、ソーシャルセリングやデジタルセリングと言われる、ネットやSNSを利用した見込み客獲得が主流になるのではと予想されています。LinkedInの調査ではこれらの手法を上手に利用した営業が平均以上の成績を上げていること実証しています。この新手法は、具体的にはLinkedIn、インバウンドマーケテイング、そしてSEO対策を意味しています。ですので、ここに述べているSEO対策は営業手法の一部と理解する必要があります。
7.参考ポスト