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現代ビジネスにぴったりなサーバントリーダーシップとは

従来のリーダーシップでは、もうダメだ。今必要されているのは支援型リーダーシップだ

· Education,B2B

従来の権力中心型リーダシップは古い

 リーダーシップという言葉が中学時代から大嫌いだった自分が、ビジネススクールでリーダーシップを教えている。なぜリーダーシップが嫌いだったのだろうか?それは従来型のリーダーシップが権力中心型だったからだ。ビジネススクールの学生にリーダーシップの典型はなんだろうかという問いかけに、8割がこの権力中心型リーダーシップを挙げる。そして同時にこのタイプのリーダーシップは古いという感覚を同時に示すのだ。

 リーダーシップにはさまざまな種類があることが、ビジネスとアカデミックの世界では分析されている。ここで紹介するサーバント・リーダーシップはその中でも近年注目されているリーダーシップだ。ではなぜ注目されているのだろうか?それは一言で言うと「時代が求めている」からだ。

 実はサーバントリーダーシップは1970年にRobert K. Greenleaf氏が発表した"The Servant As Leader"が最初だ。彼はその後のこの考え方の大きな発展に寄与した。(同氏が創業したGreenleaf Center for Servant Leadershipの活動内容はWEBから確認することが出来る。) 従い、直近の発明というわけではない。理論の熟成と証明には時間がかかる良い一例だろう。

 ここではサーバントリーダーシップの考え方の中で最も重要な一つだけ述べてみたい。サーバントリーダーシップには数多くのポイントがあり、それらのポイントが有機的につながっている。従って、実際の導入(学習)にあたっては、混乱が起きやすい。どこから始めたら良いのだろうか?が現実的な問いだ。そこで、ここではサーバントリーダーシップの根源を理解することで、学習の際の振り返りが容易に出来る様になることを目的にしたい。

リーダシップの基本モデル

 従来型のリーダーシップ構造はこのようにピラミッド型と呼ばれている。

 世界中で見られる組織構造図であろう。「社長が一番偉い」がわかりやすい表現だ。ピラミッド型の課題は権限構造における意思決定のスピード不足で、この反省から組織構造をより平面にしたフラット型組織が生まれた。Zappos社はフラット型組織による成功例である。

 企業組織構造の歴史は軍隊と切り離すことができない。勝つための組織として洗練されてきた軍隊は、前述の組織構造と非常に類似している。権限構造は明らかで、誰もが納得出来る。しかし、違和感がこれらの二つの構造を比較すると感じるはずだ。お客様が敵と同じ位置にいる。これはどう考えてもおかしいだろう。ビジネス組織的にこのプラミッド型はそんなに間違ってないと思っても、お客様と敵が入れ替わっただけの組織構造に直感的に何かが違うと感じるはずだ。

サーバントリーダーシップ型モデル

 そこでサーバントリーダーシップでは、この組織構造を別の視点から考えることにした。それが下図。これは最初に提示した、従来構造型のピラミッド図を逆さにしたのもだ。お客様を中心に描くと、同様な図になるだろう。読者の皆さんは、「お客様中心主義」という言葉をどこかで聞いたことがあるはずだ。そのような組織ではお客様の声を早く上位意思決定者に伝え、行動を起こし、よりお客様のニーズに合った行動をとることをミッションにしているはずだ。

 お客様との距離を近づける典型的な例としては「社長の販売店舗訪問」があるだろう。お客様や現場の声を直接聞くという名目の元におこなれる。これには副次的な効果もある。

  • 普段はあり得ない社長訪問により現場のモチベーションアップ
  • 中間管理職へのプレッシャー
  • 現場訪問をしたという社長の実績の組織内での重み

 上位者の現場訪問は、会社の活動として仕込まれている場合も多いであろう。ここでは、さらなる上位者の訪問(行動)が大事な意味を持っているのは明らかだ。ところが、現場から見える姿は異なったりする。

  • 訪問対応が大変
  • 現場の声を吸い上げるふりをするだけで、何も変わらない
  • 形式だけの訪問

 こうなると、お客様中心主義とは実は名ばかりのもになるだろう。サーバントリーダーシップの基本は、上位者がお客様に近いとこまで降りて現場を知ることを優先度にあげてはいない。導入例で、社長の現場訪問を挙げているのは間違いだ。それはあくまでプロセスの中で出できた一つの事象に過ぎない。本質は、現場に近い人をよりサポート出来る組織作りのためのリーダーシップを意味する。詳しく説明してみょう。

 お客様に一番近いのは一般社員であるのが、前述の図でわかる。通常であれば一般社員の上位者である課長が指示をして、一般社員を動かすのが一般組織であろう。サーバントリーダーシップでは、一般社員がよりお客様との課題解決のために動きやすいように組織や人そして予算を整えるのが課長の役目となる。

サーバントリーダーシップは組織改革を求める

 この基本が分かると、サーバントリーダーシップは大きな組織変革を伴うことが理解できるだろう。命令系統から支援系統への変更は、組織変更だけでなく、人々の考え方、行動模範への影響大と考えるべきだ。そのためサーバントリーダーシップはさまざまなアプローチから変革を捉えている。そしてこの変革は時間が掛かることを意味しており、忍耐が必要であることは、サーバントリーダーシップの一つの重要なコンセプト(そして弱点)となっている。

なぜ新たなリーダーシップモデルが必要なのだろうか

 ではなぜサーバントリーダーシップを始めとした新たなリーダーシップがが大事なのかについて述べてみたい。それは現代ビジネス環境を考えると、リーダーシップの変革が必要なことは明らかだ。VUCAに代表される様に、予測を立てることは困難で、多くのことが短期間で発生する。こんな時に、マーケットに一番近ところがどれだけ的確にそして迅速に動けるかが大事である。さまざまなビジネスフレームワークがあるが、リーダーシップの視点から言うと、サーバントリーダーシップはこんな時代に強いと言えるだろう。また、冒頭に述べた、実務を経験したビジネススクールの学生からは、従来のリーダーシップは古くて、十分でないとの意見がある。mindesetshif (Tanmay Vora, 2016) が述べているように、組織定義そのものが変化している現在、リーダーシップにも変革が必要なのは当然だろう。

サーバントリーダーシップの長所

 では他のリーダーシップと比較して、サーバントリーダーシップは何が優れているのだろうか?それは人間の本質的なところと深く結びついており、ビジネスだけでなく、人間関係そして社会との関係まで包括できるからと言えるだろう。サーバントリーダーシップはTrasnformative ledership やDemocratic Leadershipとの類似点が多い。唯一の違いはGreater cause(正当な理由)で(C Lindberg, 2020)があるからだと言う。具体的には仕事だけなく、コミュニティや他の人のためにもなると言うのだ。ここはサーバントリーダーシップの深いところで、愛と同類であると定義している(J.Hunter 1996)。人中心のリーダーシップの性格が大きく表れている。

 サーバントリーダーシップの理解とその応用には2つの要件ある。

  1. 腑に落ちるまで理解してみる
  2. 他のリーダーシップスタイルを学習する

 1のためには、James C Hunter氏の The servantをお勧めする。日本語訳が2012年に発売されている。(私は原本とスペイン語版を読んだ)200ページ程で1週間の修道院でのセミナーでさまざまな人たちとの議論を通じて学んでいく仕立てになっている。読みやすく、さまざまな意識を呼び覚ましてくれる。具体的な施策を述べている本ではなく、もっとも基本的なところを追求していくためのプロセスがわかりやすい。私の聖書でもある「7つの習慣」が参照にされている箇所があり、この2つの考え方に共通部分があるのは明らかだ。この本は一読だけは理解しきれないだろう。難解ではなくて、色々な思考や感情が複雑に絡み合うので、時間が必要なのだ。

 2は大事で、サーバントリーダーシップはあくまでもリーダーシップスタイルの一つであり、決して万能ではないと言うことだ。哲学としてのサーバントリーダーシップは間違いなく強力ではあるが、組織やビジネスによっては、他のリーダーシップの方が適切であろう。

 またリーダーシップを受ける側の状態も重要だ。人によっては「全く分からないので、指示して欲しい」「ある程度ビジネスを理解しているのでよくサポートしてほしい」「ビジネスを理解しているので指示は不要だが、サポートをお願いしたい」「大丈夫です。もっと責任が欲しい」とまで様々である。これはSituational leadeship(状況対応型リーダーシップ) と呼ばれ、1969年にPalul Hersey と Ken Blanchardにより書かれた The one minute managerより発表された。

Situational Leadership - Hersey-Blanchard Model

ここでは縦軸をサポート必要状態、そして横軸を指示必要状態としており、上記で述べた、全くの初心者はS1に相当する。例えば、新入社員には手厚いリーダーシップが必要だが、中堅になれば、権威移譲を目指したリーダーシップが必要になると言うことである。この状況対応型リーダーシップは多くのリーダーシップスタイルの中に取り込まれている(M. Longoria, 2022)。このモデルはMBAを始めとするビジネススクールの学生にもっとも受け入れやすい、組織論の一つでもある。このモデルを学習したのちは、明らかに学生たちのリーダシップ定義に変化生じる。それは狭義で捉えていたリーダシップを、ビジネスの現場でチームをリードしていく際に必要なリーダーシップの熱量が明確になるからだ。

まとめ:最高のリーダーシップは、試行錯誤で見つかるはず

アカデミックの強いところは、このように素材を沢山用意してくれること。これをビジネスに活かすのは現場の皆さんの仕事である。一つのリーダーシップスタイルにこだわるのは、得策ではない。そこでお勧めは、最後に紹介した状況対応型リーダーシップを上司や部下と一緒になって考えてみるのはどうだろうか?ここが明らかになるだけで、コミュニケーションが良くなる。「ウチの課長、無駄に細かいんだよね。」「気をかけているんだけど、成果が出ないだよなぁ、あいつ。」等の話はどこにでもある。これを改善するだけでも、部内の風向きは大きく変わるであろう。

その上で、人格に関わるリーダーシップスタイルの見直しをするのが良いであろう。サーバントリーダーシップは人間的な奥深さに理想的に見えてしまうが、効果を出すまでには時間がかかる。ビジネスの現場で時間はとても大事な要素だ。出来ることから始めるという考え方が正しいだろう。

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