CMの短命化は社会的背景の急激な変化のため
54歳のMBAの挑戦、後半戦が始まりました。まずはマーケティングプランの授業を5時間です。MBAで最も人気のあるのがマーケティングコース。それはMBAから派生したマーケティングのコースが多いことでもよくわかります。
お題の一つで、これは難しいなぁと思ったのは、過去数年間だけの価値観の違いで、その当時の広告コンセプトが今では全く通用しないことです。CMの短命化は社会的背景の急激な変化のための一つの事象です。特に性別でターゲティングをした場合の例を2つとりげました。
ニベアの男性化粧品の事例
まずはニベアの男性化粧品の話です。このスポットは2015年のものです。さて皆さんこのスポットを見てどう思いますか?私は「ずいぶん古いコンセプトだなぁ」と思ったのですがなんと2015年のスポットの様です。5年ほど前のスポットです。スペインでは、このスポット発表当時は完璧にターゲット層にマッチしていました。しかし2021年では、このコンセプトは全く受け入れらないようになりました。メッセージやSTP(Segmentation Targeting Positioning)は分かりやすく、問題は全くないように思われましたが、社会環境が大きく変わりましたね。PESTEL等での分析はあったと思いますが、当時のマッチョの傾向は正とされたと思います。
ビックの女性用のペンは販売直後から炎上
もう一つがBIGのブランドで有名なポールペンがありますね。ここは2012年の話です。に女性向けのボールペンを発売しました。これは発売直後から、女性用とあるのが大きな批判を受けました。これは10年前のお話です。この時期に女性専用と呼ぶことがすでに「炎上」の可能性があったのです。実際のところ、何が問題だったのかは、よく分かりませんでした。色なのか、デザインなのか、価格付けなのか、名称なのか?または競合によるゲリラマーケティングの結果なのか?
「みんなが笑っている女性用のビックペンはこれだ」 by businessinsider 2012/08/28 の記事を参照にするとよりこの問題が理解できると思います。またフォーブスで 「ビック・フォー・ハー:タンポンを作った男が語る、彼らの本音」2012/08/30 も同じ問題が取り上げられています。
お酒のCMはZ世代にはウケない
広告の陳腐化という例では、以前にもお酒の若者向けの広告が今では社会的に受け入れられないとケースを取り上げました。
アルコールの広告はターゲット層(多くの場合若者)の消費量を増やすことが目的です。そのため、さまざまなコンセプトを取り混ぜで、ウケの良い、ヒットしやすい広告を作ります。その反面、アルコールの社会的な副作用については語られることがほぼありませんね。この種のことはZ世代にしてみると、大変重要な要素で、彼らにとって、ノンアルコール飲料は当然の選択肢なんですね。なのでこの種の宣伝には「拒否反応」が出たりします。願わくばタバコの広告のように禁止になって欲しいのです。
尖った広告は中小企業の武器
しかしその一方、尖った広告が巨大企業に勝つための重要な武器と公言したKH-7があります。これは10年前の広告ですが、当時は非常に話題になったとのことです。KH-7は油汚れをとる洗剤で、非常に著名です。そしてこのスポットでは食器洗い機の油汚れ除去をKH-7を利用することで、2人の時間が作れるというのをアピールしています。スペインに来たときに広告の違いでびっくりしたのは、この種のセクシー系ではなくて、その先を直接イメージさせるような広告があった事。これはびっくりしました。ただし、今では随分とこの種の広告は減っているように思います。Sexualityに関しては、欧州は日本よりかなりオープンですから、その線引きは大きく異なっていることを理解する必要があります。
社会環境の動きは想像より早い
マーケテイングプランの作成は大きな労力が必要です。データー収集や、分析そして多くの検討によりプランが策定されますが、成功するかどうかは保証されていません。商業的な短期の成果を求めるのか、ブランド確立ための長期的な結果を求めるのか、これらは企業戦略上大事な要素です。その上社会環境の動きは想像より早く、せっかくの投資が短時間で陳腐化する可能性はより高くなりました。ブランド観点からするとNIKEの広告は骨太なのは間違いありません。例えばこのNike Better wolrd (ナイキより良い世界)をを見てもらうとわかるのですが、今日現在でも十分に使える内容です。そしてこれは2011年の作品です。
まとめ
今回のマーケの授業では、社会性とマーケの効果についての考察は有りませんでしたが、とても気になる点です。授業との直接の関連性は薄いのですが、気になったのは、商業的成功には炎上も含めた話題作りが必要。ブラント作りには芯があり、継続性の高い活動が必要ということになります。通常MBAでは商業的な成功を求めるので、どうしても前者に寄った授業内容になりますね。ブランドの授業がある場合には、後者に振ります。
ここで何が本物なんだろうかという命題に直面します。哲学があると、商品性に左右されないビジネスが出来るはずです。しかし商業的成功を中心に添えると、「消費者からの飽き」を気にしなければなりません。マーケプランでは哲学を基本に商業的成功を収めるための施策が必要であり、その責任の大きさが人々を魅了するのではと今回思いました。
さてこの授業は5時間で260ページのスライドそして、ケースが素材として用意されています。MBAの授業としては標準的なボリュームではないかと思われますが、実は大きな課題を内包しています。この点については別のブログで述べてみたいと思います。
「非財務系のプロジェクトリーダーやビジネス開発担当ための正味現在価値NPV解説」というちょっと難しめのポストがあります。これはMBAの授業の1コマで「稟議を通すために納得感を強める方法」として紹介しました。よろしければどうぞ。
リンクトインで「#リンクトイン活用」検索を行うと、科学的なアプローチを中心としたヒントが多く見つかる。